階級制のスポーツであるボクシング
過酷な減量のイメージがあるスポーツですが
一般的に身長が高くリーチの長い選手ほど有利な傾向があります。
そのため、少しでも有利な階級で闘いたいという思いから、
過酷な減量を強いらても軽い階級で戦うことを選択する選手も少なくありません。
ここでは階級性のスポーツであるボクシングにおける身長と体重の関係を解説していきます。
また後半では、
現役のボクサーの中で世界最強と呼べる大注目のボクサーについても紹介していきます。
ボクシングの全17階級
現在のプロボクシングでは、
最軽量のミニマム級から最重量のヘビー級まで17階級が存在しています。
また世界のボクシング主要団体は
WBA、WBC、WBO、IBFの4団体が存在しており、
複数団体の統一王者も存在しますが、
基本的にはそれぞれの団体にチャンピオンが存在します。
階級により何が違うの?
パンチの威力は軽量級になるほど軽く、重量級になるほど重くなる傾向があります。
また、スピードは軽量級になるほど速く、重量級になるほど遅くなる傾向があります。
例を挙げると、
ミニマム級の試合だと、、、
「スピードがあって華やかだけど、パンチが軽くてなかなか倒れない。」
ヘビー級の試合だと、、、
「パンチの威力が見てる側まで伝わってきてスリリング。でもスピード感がない。」
という印象の試合が多くなる傾向があります。
日本で人気の階級は?
日本で人気の階級と言えばバンタム級(53.52kg以下)です。
バンダム級と言われることもありますが、
辰吉丈一郎、渡辺二郎、長谷川穂積、山中慎介など数多くの歴史に残る世界チャンピオンを日本から世界に輩出してきました。
バンタム級が日本で人気である理由はズバリ、
日本人の平均的な体型に合った階級だからです。
平均身長170cmの日本人にとって、
バンタム級が最も合う階級になり必然的に選手層も一番厚い階級になります。
歴代の日本人の世界チャンピオンをみても、
最軽量のミニマム級からバンタム級までが圧倒的に多く、
スーパーバンタム級(53.34kg)以上になると
日本人世界チャンピオンの数は一気に激減します。
特にスーパーライト級(61.23kg)以上になると、
80人近い歴代の日本人チャンピオンでも、たった5人しかチャンピオンになっていません。
最も重い階級で世界チャンピオンになったのは竹原慎二(たけはら しんじ)氏でWBA世界ミドル級(72.57kg)のチャンピオンになれたのは日本人離れした身長186cmという恵まれた体格のお陰でしょう。
本場アメリカで人気なのは中・重量級
平均身長170cmの日本に対し、ボクシング大国アメリカでは、
180cm以上の人間はゴロゴロいますから、必然的に中・重量級の選手層が厚くなります。
派手なノックアウトを好むアメリカ人ファンの気質も相まって、
特にウェルター級(66.68kg)~ヘビー級(90.719kg)は、最も人気のある階級となります。
反対に、軽量級のボクサーはアメリカのリングでは「カネにならない」ため、どれだけ軽量級で強い日本人世界チャンピオンがいても、アメリカで戦うことは難しいのが現状です。
また、アメリカ人ボクサーは、日本人のように現役生活を1つの階級で終えることはなく、キャリアを重ねて体が大きくなるにつれて、階級を上げていく傾向があります。
階級を一つあげるとやはりパンチの威力は違ってきますが、
「過度な減量でコンディションを落とすぐらいなら、良いコンディションで力の出る階級で試合をすべき」という考えが定着しているのでしょう。
そのため、偉大なチャンピオンとしてアメリカのリングに認められているボクサーは皆、複数の階級を制しているボクサー達です。
中でもマニー・パッキャオ(フィリピン)は、
フライ級からスーパーウェルター級まで飛び級を含む、6階級制覇を成し遂げています。
フライ級とスーパーウェルター級の体重差はおよそ20kgですから、
どれだけすごい事を彼がやってのけたのかお分かりいただけると思います。
他にもオスカー・デラ・ホーヤの6階級制覇や
フロイド・メイウゥザーの5階級制覇など
世界では、複数階級を制することが真の強さの証しとしてリスペクトされています。
過度な減量の危険性
日本とアメリカの階級選択の違いについて紹介しましたが、
同じ身長であっても外国人に比べまだまだ手足の短い体型の日本人は、
より軽い階級を選択しようとします。
結果、階級ごとの平均身長も日本人に比べアメリカ人の方が低いです。
170cmの身長であれば日本人ならせいぜいライト級どまりですが、
アメリカ人ならもっと重いウェルター級やミドル級の選手もザラにいます。
アメリカ人が平均3~5kgの減量で試合に臨むのに対し、日本人は7~10kg以上の減量をしているボクサーも珍しくありません。
過度な減量は、体内の水分を奪い、脳の機能を低下させます。
計量こそ前日に行えば減量から解放されますが、24時間で回復することは困難です。
その状態でリングに上がり、頭部に衝撃を受けることは非常に危険なことです。
しかし、日本には過度な減量はボクシングに仕方のないものという考えのトレーナーが多く、
トレーナーから選手に階級転向を提案することは珍しいです。
対してアメリカではスポーツ医学の発展により「無理な減量で危険なコンディションを崩すなら、無理のない減量で戦えて本来の力が発揮できる階級で戦ったほうがいい」という考えが定着しています。
現在スポーツ医学の世界では、「階級制スポーツにおける減量は普段の体重の7%までが適正」とされています。
日々トレーンングに励んでいて体脂肪率も既に10%程度の身長180cm、体重70kgの選手なら減量は4.9kgまでが限界ということです。
最強のPFP王者は?
階級制スポーツであるボクシングにおける身長と体重の関係を紹介してきました。
階級制であるために、平等かつ公平な闘いが担保されていますが、
17階級それぞれに世界チャンピオンが存在していして、
「真の世界一は誰なのか?」ということは決められません。
そこでボクシングファンなら一度は耳にしたことがある「PFP」という言葉が存在します。
PFP=パウンド・フォー・パウンドとは?
PFPとは「パウンド・フォー・パウンド」の頭文字を取ったもので、
仮に全てのボクサーが同じ階級だったと仮定したときに最も強いと考えられるボクサーを表す俗語です。
かつての「軽量級の伝説ボクサー、リカルド・ロペスと、ヘビー級王者モハメド・アリが戦ったら・・・」と想像したり、
「同じヘビー級同士でも時代の違うモハメド・アリにマイク・タイソンが挑戦していたらどうなっていたのだろう・・・」と想像したり。
これまで何度もパウンド・フォー・パウンドは誰なのかという議論がなされてきました。
ここでは、現役選手の中から、
私なりの最強PFP王者ベスト3をランキング形式で発表したいと思います。
第3位 ローマン・ゴンザレス
第3位はローマン・ゴンザレス。
戦績は44戦全勝38KO。
ニカラグアの怪物と呼ばれています。
キャリアは最軽量のミニマム級からスタートして現在はWBC世界フライ級王者の
未だ無敗のチャンピオンです。
魅力は軽量級離れした圧倒的なパンチの威力。
基本に忠実で派手なボクシングはしませんが、強力なプレッシャーを相手に与え続けることで相手に徐々にダメージを蓄積させ、中盤ラウンドでノックアウトさせるという
ゲームプランが最近は定着しています。
正直、彼がこれまで窮地に立ったところを見たことがありません。
しかし、今現在夢の対戦として期待が高まっているのは日本人の井上尚弥(いのうえなおや)選手との対戦です。
井上との対戦が実現すれば、窮地に立たされるロマゴンの姿が見れるかもしれません。
第2位 ゲンナジー・ゴロフキン
ゲンナジー・ゴロフキンは「神の戦士」と呼ばれています。
ウクライナ国籍の典型的なロシアンファイターで、スピードこそないものの恐ろしく硬い拳から繰り出されるロシアンフックで数々の相手をリングに沈めてきました。
彼もまた34戦全勝でなおかつ30KOと非常に高いKO率を誇ります。
彼はなんとWBC、WBA、IBFと3団体のミドル級の世界王座を獲得しており、
ミドル級は奇しくも日本の金メダリスト村田諒太(むらたりょうた)が世界のベルトを狙っている階級でもあります。
近い将来、村田VSゴロフキンのメガマッチがラスベガスで開催される日がくるかもしれません。
第1位 フロイド・メイウェザー
第一位はなんといってもスーパースター
フロイド・メイウェザーです。
彼もまた49戦全勝。しかし、ほかの2人と違うのは、彼が圧倒的に
「負けないボクシング」に重きを置いたファイトスタイルであるということです。
彼の一番の魅力は、そのスピードとディフェンス能力にあります。
人間離れしたスピードと、
卓越したディフェンステクニックで相手に全くクリーンヒットをさせません。
ただ、リスクを取りにいかず、倒さない彼の試合は時として観客のブーイングの的となります。
また、普段の言動も奇抜なため、ヒールなキャラクターが定着しています。
とはいえ年間たった2試合でスポンサー収入も合わせ300億円を稼いでおり、アメリカのスポーツ長者番付では何と1位に君臨しています。
日本ではボクサーが1位なんてちょっと考えられないですよね。
日本人がラスベガスのリングに立つために
以上、ボクシングにおける身長と体重の関係を紹介するとともに、
階級の壁を超越した最強のボクサー達について紹介してきました。
彼らパウンド・フォー・パウンドのランクの上位を占める選手は皆、ラスベガスのリングを主戦場としています。
日本人ボクサーも、現在9人が世界チャンピオンの座に就いていますが、この中でラスベガスのリングに立ったボクサーはいません。
ラスベガスのリングでは、「倒す能力があること」「カネになるボクサー」であることが何よりも求められます。
今後の日本人ボクサーには、日本にとどまらず世界を見据えた闘い方を期待したいと思います。
また、海外で人気のある中・重量級にも積極的に挑戦して、日本人ボクサーの強さを世界のボクシングファンに見せてくれることを期待したいと思います。
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